何故か買ってしまったモニターヘッドフォン「SONY MDR-M1ST」をレビュー。MIXやるなら最適解のひとつ。

5.0
DTM/音響関連

桃莉瑠衣です。

特級のいいネタになりそうな買い物をしてしまったので、レビュー記事をお送りいたします。

※こちらのレビューは、主に歌い手・MIX師視点からお送りしております。

ついつい…?モニターヘッドフォンを購入

今回のネタはといいますと…

MIX師・歌い手に限らず、リスニングメインの方に至るまで。

音楽関係のみなさん大好きな「My New Gear…」でございます。

クソ手抜きなのでTwitterから引用です。

画像は外箱なのですが、非常にシンプル。

これは、ソニー…もとい?ソニーミュージック・ソリューションズが販売している「MDR-M1ST」というモニターヘッドフォンです。

2019年8月23日に発売されてもうすぐ2年ですが、モニターヘッドフォンの中では「比較的新しめ」な部類のものです。

こういった製品の代表格として知られる「MDR-CD900ST」はなんと1989年(一般向け販売開始は1995年)

同じ系統ですがお値段お安めの「MDR-7506」は1991年。

僕が以前使用していたオーディオテクニカの「ATH-M40x」は2014年です。これも新しめではあるのですが、販売開始から7年は経過しています。

つまりこれはまだまだ新参者。

しかし、先述の「MDR-CD900ST」の正統後継機ともいわれ、発売前から大きな注目を集めました。

僕も当然この情報はキャッチしており、ついに今回購入に至りました。

ただ、こいつの購入に至るまでにはちょっとした経緯があるのです。

元々買うつもりじゃなかった

はい、元々モニターヘッドフォンを買う気なんてさらさらなかったのです。

最初の僕の狙いはTWS(左右に分離しているイヤホン)、その中でも「AirPods Pro」を第一候補に挙げていました。

それがなぜこんなことになってしまったのか。

というのも、AirPods Proを買う直前に色々と調べていましたら、Apple Musicのハイレゾロスレスどころかロスレス再生にすら対応していないという事実が発覚。

iPhoneってBluetoothの音楽コーデックの中で上位のものは一切採用されていないので必然ではあるんですが。

そして、ワイヤレスイヤホンというもの自体が自分の生活スタイルに合っていないというのもよくよく考えたらありました。

基本引きこもりですし、使っているのはWindowsの自作デスクトップPC、しかもWi-Fiがついてるわけでもありません。

(マザーボードにWi-Fiとかついてると必然的にBluetoothにも対応することになるのです)

AirPods ProとMDR-M1STの価格は同じくらい

そして、ふと気づいたことがありました。

「AirPods ProとM1ST、価格いっしょくらいじゃね?」

「しかもリスニングとMIX両方に使えそうなのって明らかにM1STじゃね…?」

うん、ならばM1STを買おう。

そんなわけで、ちょっと足を伸ばして別の家電量販店へ試聴をしに行きました。

「1個に絞れてるならわざわざ遠出する必要もなくないか?ECサイトでポチっとでしょ?」

そう思う方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、その前に必要なタスクはちゃんとこなさないとやってられません。

とりあえず、この記事を書くにあたって伝えたいことがあるので、経緯の説明はここまでにしておきます。

「試聴」は必須で取り入れる

勢い任せに注文してもよかったのですが、その前にやっておかなければならないことがあります。

それは「試聴」。

といっても大仰なDACを持っているわけでもオーディオIFを持っているわけでもなく、iPhoneにbelkinの分岐ぶっさしたやつで聴いただけですが。

確かにこのM1ST、秋葉原の某店舗に立ち寄ったときにはほぼ毎回といっていいほど試聴していますし、音の傾向はちょっとはわかっています。

ただ、「ある2つのモデル」と比較でもう一度試聴して最終決定をしたかったのです。

避けて通れないふたつの比較対象

その「2つのモデル」とは何か?

それは、同じメーカーの前身とされるモデル「MDR-CD900ST」。

そして、同じようにスタジオとのコラボレーションで製造されているヘッドフォン、ビクターの「HA-MX100V」。

特に後者は、前モデルより増してビクタースタジオとの共同開発を前面に出しているモデルであるため、すごく気になっているものでした。

「こいつらと比較して結局どうなのか?」でひとネタできるかなと思い、試聴をしに行った次第です。

正直、そこでビクターのほうがよかったらそっちを買うつもりでした。

そして試聴した結果…

M1STの圧勝でした。

900STはヘッドフォンを扱っている店舗に行っては聴いて「あぁ…」ってなるのを繰り返していたので結果はわかりきっていました。

そして何より登場が多少古いので、やたらイヤーパッドが薄かったりヘッドバンドが薄かったりで超絶レトロな設計のものはなじまなかったです。

そしてもう1機種、ビクターのHA-MX100Vは中域強め、低域弱めの印象がありました。

近い表現としては「ビクター版900ST」でしょうか。

ただ900STと比較するとまだ低域が多少聞こえるかなーといった印象。

ただ、このヘッドフォンはビクタースタジオでエンジニア陣が使用しているとのこと。

あと何より、ハウジングにお馴染みの「ニッパー君」が描かれている。これがデカい。

これだけで「試聴は後回しだ買うぞ買うぞ買うぞ」って方が結構いそうな気がします。気がするだけですが。僕も何回か手が滑りそうになりました。

購入、エージング、そしてレビュー。

というわけで、M1STを購入しました。

開封

無機質な箱の中には付属ケーブル(6.3mm標準プラグ)と、薄い説明書。

そしてこの製品の「商品お問合せ先」の会社名やメールアドレスに注目してもらえるとわかるのですが、「ソニー」ではなく「ソニーミュージック」の製品という括りになっています。

これはCD900STや7506、そして業務用のインイヤーモニターとして販売されているMDR-EX800STも例外ではありません。

※ソニーミュージックアクシスは旧社名で、現在はソニーミュージックエンターテインメントに集約されています。

そして、民生用のヘッドフォンとは違う一言が。

「この商品は音楽スタジオでの業務仕様を目的としたプロフェッショナル使用のヘッドホンのため、無償修理期間は設定せず、すべて有償での修理とさせていただいております。」

そう、これらの製品群は購入1日目だろうが、初期不良以外の修理は全て有償。

他メーカーと比較すると、ソニーは本当にここらへんキッチリ線引いてくるんだなあ…と、感心なのか複雑な気持ちなのかわからない。

しかし大事なのはそれより製品の出来だ!!!!

エージング

ひとしきり質感なんかを眺めてから聞いてみると…

「音が多少籠るなぁ…」

おそらくドライバーをまだ動かせていないのでしょう、というガバガバ予想を立て、早速エージングに走ります。

いつもはここでApple MusicやYouTubeで楽曲を流してーってところですが、このヘッドフォンはハイレゾ対応。なんと対応周波数帯域は怒涛の5-80000Hz。

人間の可聴領域から大幅に外れてるのはともかくとして、できるだけ上のほうのポテンシャルを引き出したいところ。

というわけで、ProToolsで24bit/192kHzのセッションを作り、そのセッション上でピンクノイズを2-3時間鳴らしてエージングを敢行。

実際のProTools画面。80kHzどころか96kHzまで出てる模様。ええ…

その結果、籠った感じはなくなったのでOK。

もうちょっと鳴らしこむのでは?と思う方もおりますが、僕はこれで十分でした。

メリット・デメリット

どんな製品にもメリット・デメリットはあるものです。多少のデメリットを無視してでも大きなメリットがあれば、それは素晴らしい製品です。

というわけで、ざっと列挙していきましょう。(感じ方には個人差があります。)

メリット

どんなジャンルでも触れる

ポップスだろうが、EDMだろうが、ちょっと古めの楽曲だろうが、なんでもいけます。

1回これでミックスをしてみたのですが、特段問題ありませんでした。

本当に「次世代」の最有力候補となるモニターヘッドフォンとして作られているのだな、という印象です。

中域気持ち強め、Recでも使える

この機種は低中高全て鳴らしてはくれますが、変にバランス良くフラットというわけでもありません。

特にボーカルにあたる中域が多少出ます。

この特性のおかげか、レコーディングにも「使える」ヘッドフォンとなっております。

作曲の際に仮歌を自分でRecする方やセルフカバーを出す方、歌ってみたとMIXを両方やる方などにはおすすめできるヘッドフォンです。

側圧がさほど強くない

側圧の差はM40xやbeatsのヘッドフォンとの比較となりますが、頭を強制的に押さえつけるようなものではないので装着・脱着もしやすく、装着中に頭が痛くなることもありません。

デメリット

側圧のわりには長時間つけると痛い

側圧が強くない代わりに、耳と内側のドライバー部分が触れるほど近いので耳が多少痛くなります。

民生用ヘッドフォンより薄目のイヤーパッドになっている特性上なのですが、これは多少困りどころです。

付属ケーブルが6.3mm標準プラグのみ

付属ケーブルが民生用モデルのように複数ついているわけではなく、変換プラグもないため、デフォルトの状態では6.3mmの標準プラグ縛りとなります。

じゃあそれをどう対処すればいいのか、というと…

6.3-3.5mm変換プラグを買うか、いっそのことケーブルを換えてしまうかです。

M1STはケーブルが着脱式になっており、しかも3.5mm4極。入手性がそれなりに高いです。

例えば、民生用のMDR-1R/1Aなどに適合する下のようなケーブルに交換してしまうのもいいかもしれません。

ただ、リスクとしてはケーブルの固定機能(ネジ止めができます)がオミットされてしまうので、使用中のケーブル脱落のリスクがちょっと上がります。

あと、ケーブルを換えると多少音にも影響してくるため、「ケーブル換えたら今までの音じゃなくなった!!」って頭を抱える事態になることも…

慎重に検討することをお勧めします。

実は結構音漏れしやすい

密閉用ではあるのですが、低域を通すためかドライバーの上面に穴が空いているので、わりと音が漏洩してしまいます。

外で使用する際、特に満員電車では使用は難しいのかな?という印象です。

ですが独自の検証として、ある程度音量を下げればわりと音は漏れにくくなりますので、開放型ヘッドフォンほど神経質になることもないのかなと。

【重要】MDR-CD900STとの比較

はっきり言いましょう。といってもこれはレビューサイトなんかによく書いてある文句ですが…

M1STと900ST、これらは「別物」と考えてもいいです。

一部界隈で蔓延る900STに対する「誤解」

CD900STはどのスタジオにも置いてあったり、レコーディング用に使われていることが多いもので「定番」としてすっかり定着してしまっているのですが、実はあれほどにクセの強いヘッドフォンはなかなかありません。

圧倒的に使われているのはあくまで「レコーディング用」であって、音楽鑑賞であったりミキシング・マスタリング時に使うかどうかは別の話です。

CD900STの特徴として、まず圧倒的に「声が聞き取りやすい」ため、ボーカルRecやナレーションには向いているのですが、その反面「声以外が拾いづらい」です。

特に低域が明らかに弱いため、キックやベースを聴き取って判別ってなったときにちょっと困ります。

パラミックスなんかやる場合は無論すべてのパートに注意を向けなければやってられないのですが、そもそも聞こえないため向けようがありません。

あのヘッドフォンは明らかに「一部のソースに特化した録音用ヘッドフォン」です。

「MIX師を目指したい方におすすめ!!」とか言って900ST勧める不届き者がたまーにいますが、結構冷ややかな目で見ておりますよ僕は。

M1STはRec/Mix両方に使えるポテンシャルを持っている

ほんで、このヘッドフォンは何度も言いますが、録音にもミキシングにも使えます。

もうちょっとガチるような方々はRec用・MIX用でヘッドフォンを分けたりするのでしょうが(勝手な想像です)、「そんなに予算積めない!」「置き場所に困る!」という事情を抱えている方や、「1本で両方こなせるものが欲しい!」という欲張りさんには一番良い選択だと思います。

ちなみに僕は3つの全てを考慮して選択しました。

まとめ

以上、使用感などのレビューをまとめてみました。

MDR-M1STを主におすすめしたい方は、作曲・編曲をやる方、MIX師などの主に作業をする方です。

さきほど挙げたデメリットを考慮すると、ゆったりとリスニング…にはちょーっと向いていないかなと。ただ音的にはリスニングに使うのも充分良いかと。

「歌ってみた」をやる方にも向いてはいるのですが、3万円台はさすがにお高めですのでお金に余裕がある場合は選んでもよいとは思いますが、さすがにそこまで出せないという方は「MDR-7506」をお勧めします。

または録音特化なら先述の「MDR-CD900ST」をおすすめします。

できれば試聴して決めることが大事

そんなわけで、今回レビューしたM1STを含め4本ほど例を挙げましたが、可能な限り家電量販店などで試聴することをお勧めします。

何故なら聞こえ方や使用するジャンルも違いますし、今回挙げた2社以外にもモニターヘッドフォンを製造しているメーカーは多数あります。

その中から好みを選び抜いて「自分の一本」を見つけ出すのが大事です。

では。

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