ひえあ、桃莉瑠衣です。
前回の記事にて「ProTools First」の紹介及びインストール、プロジェクト作成まで進めていきました。
今回は、「歌ってみた」という題材に特化したおすすめの設定や、覚えておくべき操作方法などを解説していきます。
その前に:「テンキー導入推奨」
ProToolsに限らず他のDAWでもよくテンキー操作は使います。
この記事では基本的に「キーボードショートカットによる操作」をメインに紹介しています。
その中には、テンキーを含めて操作する以外の方法が非常に回りくどくて面倒なものも存在します。
もし搭載されていない場合は、テンキーを単独で購入するか、テンキー付きのキーボードの購入をおすすめします。
おすすめ設定
あくまで個人的に使用しているものですが、推奨設定としてご紹介致します。
スリップモードに設定
ProToolsには4つのモードがありますが、この項目は「スリップ(SLIP)モード」にしておきます。
ウィンドウ左上のモードの中から「SLIP」をクリックするか、「F2」キーを押すとモードが切り替わります。
このモードは、小節・拍などによって引かれる「グリッド」を無視し、自由に波形データを動かせる状態になります。
少し出だしがズレてしまったなどのタイミング補正ができます。(詳しいやり方は後の記事にて)
Big Counter/メモリーロケーションの表示
下の「トランスポート」は最初から表示させていますが、非表示との切り替えもできます。
Big Counterとメモリーロケーションは表示されていないので、Ctrlキーを押しながらテンキーの[3]と[5]を押せば表示されます。
テンキーがない場合などは、画面上部「ウィンドウ(W)」メニューから「Big Counter」と「メモリーロケーション」を開きます。
クリック(メトロノーム)の設定
次にメトロノームの設定をします。
画面上部「トラック(T)」→「クリックトラック作成」を選択。
作成されると、これでメトロノームが鳴ります。
「Click II」と書かれている場所をクリックすると設定が開きます。
「FOLLOW METER」は拍子と連動して動作させるモードです。一定の音を鳴らしたい場合はオフにすればOK。
トラックをいくつか作っておく
楽曲によって本数は異なりますが、基本的に1パートあたり最低2本はオーディオトラックを作っておいたほうがいいです。
楽曲によっては、Aメロ→Bメロ、Bメロ→サビで被る部分が出てきたりするので、別々に歌うことでMIX師さんに渡すときの混乱を無くすことができます。
また、それらが被らない楽曲でも、パートごとに役割を分けることができます。
これは先刻に上げた「ベノム」の元データです。
このように役割を分けてあげることによって、被りを抑えたり、録音する際の負荷軽減に繋がります。
BPMの設定・オケ音源のインポート
「歌ってみた」の制作にあたって重要なのはまずオケ音源ですね。
こちらは楽曲によって違いがありますが、ほとんどの場合は本家さんのデータを引っ張ってきます。
今回は獅子志司さんの「絶え間なく藍色」をチョイス。
YouTubeの概要欄にピアプロのリンクがあるので、そちらからダウンロード。
ダウンロードしたら早速取り込み・・・といきたいところですが、まずはBPM(楽曲のテンポ)を知っておく必要があります。
BPMの設定
BPMを知るのにおすすめのツールは、Traktor DJ 2です。
元々はDJ用のソフトですが、下部のトラック部に楽曲をドラッグするだけでBPMやキーを検出する機能がついています。
・・・キーの見方はわかりませんが。
今回の楽曲のBPMは125。
BPMがわかったら、これをProTools First側に打ち込みます。
メインウィンドウ、またはトランスポートの右側にある項目の中に、指揮者のシルエットのようなものがあります。
これは「コンダクター」というもので、楽曲中のテンポを変更させる際に使いますが、今回は不要なのでオフ。
そして、「テンポ」部分をクリックして、BPMを入力します。
オケ音源のインポート
音源のインポート手順
ショートカットキー[Ctrl+Shift+I]を押すと、以下の画面が出ます。
格納した場所に移動し、オケデータを選択します。
「オーディオを処理中」のウィンドウが出たらしばし待ちます。
取り込まれると、このようにトラックが追加されます。
メモリーロケーションの作成
ProToolsをはじめとしたDAWには「メモリーロケーション」および「マーカー」といった機能がついています。
それらを予め作っておくことによって、楽曲の任意の場所に飛んでいって録り直しをするなどの効率化を図ります。
そのための下準備として、「編集位置は再生に従う」のボタンをクリックします。
次は「スペース」キーを押して、曲を再生してみましょう。
特定の場所に来たら、テンキー側の「Enter」、または「マーカー」の列をダブルクリックします。
すると下記のような画面が出てきますので、名前を指定してOKをクリックするなりEnterキーを押すなり。(画像は英語ですが日本語でも同じウィンドウが表示されます)
すると、メモリーロケーションが作成されます。
これをパートごとにしていくと、下の画像のようになります。
ミスした部分を再び録音する際に役立ちます。
録音前の準備
さて、録音準備完了までもう少しです。
その前の重要な設定があります。
「トラックレコードオン」と「入力設定」
これはその他のDAWでも同じです。設定項目は2つ。
まず、「入力設定」を確認しましょう。画像左上の2つある項目の上側が「入力」なので、こちらをオーディオインターフェイスやASIOドライバに合わせます。
下の「出力」は音が出ない場合に確認してみましょう。
そして、録音したいトラックを指定します。画像左側の「●」のボタンを押し、赤色に点滅させれば録音が有効になります。
プリロール設定
次はトランスポート左側にある「プリロール」の設定です。
「プリロール」とは、録音を開始する小節の手前数小節から音を鳴らし始める機能です。
下の「ポストロール」は録音終了後に何小節鳴らすかの指定です。
画像ではプリロール2小節、ポストロール0小節に設定しています。
ショートカットキー「Ctrl+K」でプリ・ポスト両方ともオンになるので、このような設定にすることでキーひとつで切り替えができます。
そうすればセッティングは完了。キーボードの「F12」、またはテンキーの「3」が録音ボタンなので、押すと録音が開始されます。
今回のまとめ
今回はProTools Firstの録音前おすすめ設定および音源インポート~録音までの流れをご紹介しました。
多少の小技を含んだので長めになってしまいましたが、これで録音設定は完璧だと思われます。たぶん。
次回はProTools Firstに限らず様々な環境でも使える「録音する際のポイント」をご紹介していこうと思っています。
それでは。
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