桃莉瑠衣です。
初めて「歌ってみた」や楽器の録音、トラックメイキングなどをやるにあたって、
「初めての人におすすめなDAW(DTMソフト)ってなんですか?」という質問をよく見ます。
僕はその質問に対して、「そんなものはない」とはっきり回答します。
その理由をつらつらと書いていく、そんな記事です。
前提条件として、僕がメインで使っているDAWは「ProTools」です。それを踏まえた上でお読みください。

そもそもDAWは扱いが難しい
DAWは代表的なものとして以下の種類があります。
Presonus「Studio One」
Steinberg「Cubase」
Apple「Logic Pro」

Image Line「FL Studio」
Ableton「Live」
Avid「ProTools」
上記以外にもたくさん
Bandlab「Cakewalk by Bandlab」
MOTU「Digital Performer」
Cookos「REAPER」
他にもいっぱいありますが割愛。
DAWって、本当にいっぱいあります。
DAWは「統合ソフト」のため、機能が多い
DAWの略称は「Digital Audio Workstation」です。
「これ一本あれば何でもできちゃいますよ」というコンセプトで作られたソフトウェアです。
打ち込みでコピーや作曲をしたり、楽器やボーカルを録音し、それをミックス・マスタリングして動画サイトに上げる一連の動作がそれだけでできてしまいます。
その一連の動作をするための機能が1本のソフトウェアの中に収まっているので。難しいのは当たり前なわけです。
↑上記のような入門書がありますが、どのDAWでもかなりボリュームは多いです。
各々の差は「必要機能へのアクセス手段の違い」
「じゃあ各DAWによっての違いって何なの?」という疑問が出てくるとは思いますが、それは先ほど述べた「音楽制作のための一連の動作」の仕方が違うのです。
録音なら「一本録ったけど裏にそのテイクをとっておいてもう一本録っておきたい」と思ったときの機能。
これがStudio Oneなら「レイヤー」、ProToolsなら「プレイリスト」がそれにあたるのですが、ごらんのとおり名称も違いますし、操作の仕方も違います。
各機能の有無もあるにはある
大まかな違いは上記の通りですが、機能面の違いはあります。
プラグインで補完が可能な場合もありますが、元々のルーツによって機能の違いは避けて通れないことがあります。
Studio Oneは比較的最近のDAWであり、最初から色々できるように作られているので基本機能だけでなくコードを楽に打てたりする便利機能があったりします。
FL StudioやAbleton Liveは海外アーティストの使用率が高く、日本国内でもリミックスを手掛けているアーティストが使いがちなイメージですね。
ProToolsは元来、録音や波形編集の用途として使われてきた歴史があり、ハードウェアと連携して低遅延・ド安定の環境構築ができるようになっているのでスタジオでの使用率が高く、エンジニア同士でセッション(プロジェクト)のやり取りができるので重宝されています。
無料版でも高機能故に元々のハードルは高い

上の画像は無料DAWのひとつ「Studio One Prime」の機能を引っ張り出したものです。
画面左にあるのがインスペクタ。テンポ追従設定やトランスポーズ(キー変更)など一連の管理ができます。
画面中央上段にトラック(音声や打ち込んだデータが記録されるものの一覧)、ファイルの波形など。そして下段に各トラックの音量を調整したりエフェクトを挿入したりするミックスウィンドウ。
そして右側には「ブラウズ」という、エフェクトや音源を管理する部分があります。
これだけでなく隠れてる箇所もあるので、機能はまだまだ存在します。
これらを理解するのに相当時間がかかりますが、使い方がわかれば録音や軽い打ち込みでまともな楽曲を作れるほどにはなります。
なんせこちら、トラック数は無制限だそうなので。
使い慣れた人からすると物足りないように感じますが、初手でこの物量を目にして戸惑う人も結構います。
「ユーザーが多い」はもう気にする必要ないのでは?
さて、僕が常々感じている疑問に突っ込みます。
「ユーザーが多いから」という理由で主要DAWの中でも2トップに挙がる「Cubase」や「Studio One」を猛烈に推す方々がいます。
そしてそれに納得して選ぶ方もいます。
それは果たして本当に正しいのか。
これも「否」と言っておきます。
別に上位2つじゃなくとも、使い方はどこにでも転がっています。
その下にある「Logic」「FL Studio」「Ableton Live」、さらに僕が使っているけど価格が高く、基本的にレコーディングスタジオなどで使われている「ProTools」も、そこに大きな違いは感じません。
なんせ名前が挙がってるこれらのDAW、使い方はもうとっくにそこらじゅうに出回っています。
それこそ「Sleepfreaks」に行けば基本的な使い方は充分に習得できます。
更にYouTubeで使い方の動画なんていくらでも出回っています。
新バージョンにアップデートされたときに追加される機能や、更に深堀りした小技を探す難易度は変わってきますが、それはモチベーションと状況次第。
上位2つを「とりあえず」で勧めている人も、実際は使っていないなんてことは往々にしてあります。
そんな方々は恐らく使用している他のDAWを「これはビギナーには勧められないなあ・・・」と思って敢えて勧めない方が多いと思います。
ですが、はっきり言いましょう。
んなもん人によります。
「ユーザーの多さ」は下手すりゃ後からついてくる
表面上のユーザーの多さだけでも、そうでなくともDAWを選定し使っていく中で、「あ、この人も同じもの使ってるんだ」ってのはよくあります。
これは自分自身の経験ですが、日本国内でのシェアが1桁のProToolsを使い始めて1年ほど。
気づけば周りにはProToolsユーザーばかり。
こんなことはよくあります。
また、扱う音楽カテゴリによってはFL StudioやLiveが多かったり、肌感覚ではありますが「歌ってみた」の活動者の場合は無料版を含めStudio Oneが多かったりします。
あと、日本国内でCubase/Studio Oneのシェアが高い理由として、VOCALOIDとの親和性の高さもあります。順当な選定理由ですね。
音響系の専門学校でレコーディングエンジニアを目指す学科やコースに在籍しているならProToolsを使うシーンが多くなりますし、所謂「バ美肉」等ボイチェンを使用する場合はVSTプラグインを導入する最安の手段としてREAPERを選定したり。
Macを使用しているならコスパの良さ、GarageBandのプロジェクトをそのまま開けるという利点を鑑みてLogicとか。
これは車やPCなどでも同じ現象が起きますね。
気づけば周りが同じ車に乗ってる人ばかりとか、自作を1台組んでそれについて色々ツイートしていたらフォロワーが自作erばかりになったり。
SNSをガッツリ使っている方はユーザーコミュニティを近い距離で厚くできてしまうので、尚更気にするほどのものでもないかと思います。
「肌に合う」ものを選ぶのが大事。
DAWを選定するにあたっては、表面的なUIの見た目や周囲の評判だけでお金を出して買ってしまうより、まずは無料版や試用版で一度試して、「これいいな」と思うものを購入するのがいいです。
僕がわざわざ2Lの自動車税に匹敵する高いお金を払ってProToolsを使用しているのは、単純に「肌に合っていること」、そして「モチベーションが圧倒的に違う」から、この2点が圧倒的に強いのです。
自分で納得して選んだものなら愛着も沸いてきます。
「憧れのアーティストや近くにいる友人が使っているから」というのも充分なモチベになりますし、近くの友人の場合は教えてもらえることもありますのでお得な場面もあったり。
こう考えると選び方ひとつとっても難しいですね。
まずは自分が使うシーンを想定して基本的な使い方をやってみて、自分の「相棒」を探してみましょう。
選ぶ時間も楽しいものです。
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